調剤薬局事務と聞くと、「専門知識が必要」「資格を持っていないとできない」
そんなちょっと難しそうなイメージがあるかもしれません。
実際に10年働いた私の経験から、調剤薬局事務に向いている人・向いていない人を解説していきます。
調剤薬局事務の仕事
まず、調剤薬局事務の主な仕事としては、患者さんの対応や薬剤師のサポート、レセプト業務などがあります。
調剤薬局事務に関しての資格を持っていなくても働くことはできますが、資格があると他の人との差別化ができ、就職する時に有利になったり、資格手当が付くこともあります。
調剤薬局事務は一般的な事務のようにパソコンに向かって黙々とする仕事ではなく患者さんと接することが多い仕事です。
一般的な事務職のイメージを持って就職すると、違うと感じてしまうかもしれません。
調剤薬局事務に向いている人の特徴
薬局で働くにはまず、パソコンの初歩的スキルがないと仕事になりません。
現在、電子化が進み、処方箋のデータ入力、レセプト業務、薬の在庫管理までほぼパソコンで操作します。
使うソフトは薬局によって違うので、予習していくことは難しいですが、初歩的なパソコンの操作ができないと苦労すると思います。
パソコンが使えることは大前提として、技術的なことよりも人と接することが好きな人はとても向いています。
患者さんが来局されたら、最初に対応するのは事務員です。
処方箋を受け取り、薬が用意できるまでの間、患者さんが安心して待っていられるように配慮する必要があります。
患者さんの体調を気遣ったり、雑談をしたりなどコミュニケーションを取ることも多いです。
薬局という場所がら、高齢の方がお見えになることも多く、薬局に来てお話しされることを楽しみにしている方もいらっしゃいます。
このコミュニケーションを通して、お医者さんや薬剤師には直接言えない不安や疑問などの本音を聞くこともできるので、橋渡し的な役割を担い、お薬をお渡しする際に、より安心して服用していただけるためのサポートへ繋がります。
他にも近隣の病院や地域の方との連携も大事になります。
たくさんの人と接する機会がありますので、このようなことからも人と接することが好きな人は向いていると言えるでしょう。
もちろん、職場内でのコミュニケーションも大事です。
職場の人間関係が良いことは、長く勤められるポイントではないでしょうか。
普段から薬局内でのコミュニケーションをしっかりとっておくことで風通しの良いチームワークを作り、患者さんや近隣病院などの情報共有もスムーズにすることができます。
通常業務をこなすことも、コミュニケーションを取ることも、丁寧で慎重さがあり、臨機応変に対応できるかも重要になってきます。
当然ながら、患者さんは一人(一組)ずつ来られるわけではありません。
総合病院や人気のあるクリニックの近くの薬局であれば、患者さんは、次から次へと来局されます。
待合スペースが満員という状態もあります。
処方箋入力をしながら、次々に来局される患者さんや問い合わせ電話、薬の納品の受け取りなど、いろいろな業務を並行して行う必要があります。
患者さんはこちらの都合はお構いなしに、要望を伝えてこられることもあります。
一度にたくさんの処理に対応していかないといけない場面は日常茶飯事です。
パニックにならず、冷静に優先順位を付けながら臨機応変に対応できないといけません。
患者さんの名前や服用回数、薬の名前を間違えると個人情報漏洩や最悪、命に関わることもあるので、
責任感を持って仕事に取り組めることも大事な要素となります。
調剤薬局事務に向いている人の特徴まとめ
- 人と接することが好き
- チームワークを大事にできる
- 細やかな気配りができる
- 臨機応変に対応できる
- 責任感がある
調剤薬局事務に向いていない人の特徴
パソコンが苦手、機械には触りたくない…そんな人は薬局での業務は難しいです。
先ほど、向いている人の特徴でも言いましたが、今はIT化が進み、ほとんどの業務はパソコンを使います。
また、薬の名前は似たようなものも多く、剤形や規格、用法も異なります。
そのため、入力作業にも神経を使わないと命に関わる大事故に繋がってしまいますので、おおざっぱな性格や細かい作業が苦手な人も向いていないと言えます。
薬局は少人数でいろいろな業務をこなしていくため、チームワークが大事になります。
協調性があり、周りの動きをしっかり見て、自分の役割をこなせないと難しいです。
単独行動が好きな人や自分一人で何でも決めたい人、黙々と作業をしたい人も向いていないでしょう。
薬局も医療の現場と同じ考え方で、髪の色やネイルは自由度は低いです。
派手なヘアカラーやネイルは嫌悪されるため、身なりにも制限がある薬局が多いです。
特に高齢の方は、髪の色が明る過ぎたり、ゴテゴテした派手なネイルは不快に感じる方も少なくありません。
調剤薬局事務に向いていない人の特徴まとめ
- パソコン、機会が苦手
- おおざっぱ、細かいことが苦手
- 人と関わるのが嫌い、単独行動が好き
- 髪色やネイルを自由に楽しみたい
調剤薬局で10年働いてみて…
私はありがたいことに、調剤薬局事務として10年働かせていただきました。
最初は何の資格も知識もなく働き始め、教育係ができるほどになりました。
そんな中、長く一緒に働いていた人、すぐに辞めてしまう人は、先述した通りの特徴が当てはまっていると感じています。
「事務職」だからと、黙々とデスクに向かうイメージで就職してきた人は患者さんと接することが苦痛となり、早々に退職すること人が多かったです。
薬局という場所は、病気やけがで病院を受診し、薬を取りに来る場所です。
人と接することが苦手な人にとっては、健康な人とのやり取りをする以上に気を使わなければいけない相手と接することは難しいようです。
患者さんは病気やけがで、こちらが思っている以上にナーバスになっています。
精神的な病気ならなおさらです。
こちらが何気なくかけた言葉一つでも、過剰に反応したり、拒否反応を示す方もいます。
医療機関ではあるものの、薬局も患者さんあっての商売です。
商売であってもスーパーなどと違って、客の呼び込みやセールはできません。
大概は受診した病院の近くの薬局に行くことが多いでしょうが、必ず近隣の薬局を使わないといけない決まりもありません。
いくら近くの薬局であっても雰囲気やスタッフの態度が気に入らなければ、患者さんは別の薬局を選びます。
では、どうやって患者さんに選んでもらうのか。
薬自体はどこの薬局でもらっても、メーカーの違いはあってもほぼ同じものです。
誰からもらいたいか、誰に自分の薬を管理してもらいたいか
そう考えると、やはり「人対人」を大事にしている薬局は自然に選ばれます。
最初に患者さんに接する事務員が親切にしてくれるのはもちろん、清潔感のあり、細やかな気配りができる人であれば、次も来局してくれます。
薬剤師ではないから…と自分の仕事だけをこなす“ただの”事務員ではなく、“あなただから”と言われる事務員を意識して働ける人は長く勤めることができます。