私は、ある会社に総務未経験で入社をしました。その会社の総務課には誰もいませんでした。
前任者が退職して誰もいない、ボロボロだった総務課。
そんな総務課を1年で立て直した経験をお話ししたいと思います。
そして、「総務職の仕事のポイント」「これから総務職に挑戦したい方へのアドバイス」を少しまとめましたので、参考にしていただければ幸いです。
総務の仕事説明と改善までのストーリー
まず、総務の仕事を説明しておきましょう。
主な業務としては「備品管理、施設管理、契約管理、社内行事、福利厚生、来客対応、メール対応、社内外広報、ホームページの管理」など幅広い業務を担当しています。
また「これ、どこの部署が担当?」といった業務もまわってくることが多く、社内では「何でも屋」として見られていることも多いです。
大手企業であれば細かく部署が設置されていますが、中小企業の総務課はどの会社も同じような役割と位置づけだと思います。
そんな総務課に私が配属された時のこと、そして「どんなことをやってきたか」を少しお話します。
業務改善を得意としていた私は、設立6年目の営業会社(70名規模)に総務職未経験者として入社をしました。
会社から入社前に伝えられていたことは「うちは会社として整っていないことが9割」「守りではなく攻めの総務課を作って欲しい」この2点でした。
もちろん新入社員かつ未経験だからこそ「なんでもこい!やってやるぞ!」と気合いを入れて入社をしましたが、初日が終わる頃には「お先真っ暗モード」に。
その理由は、総務経験者である前任者が退職し指導係が不在だったこと、さらに肝心の業務は経理や人事など他部署に散らばっているものと放置されているものがあり「宝探し状態」だったことでした。
衝撃の現状を受け入れ、私が初めの1ヶ月で行ったことは「業務の可視化と整理」でした。
各部署に散らばっている業務と放置されている業務を可視化し「ヌケ・モレ」がない状態を作りました。
そして、全ての業務の現状を把握した上で、やらないといけないものに優先順位と課題点(改善ポイントも)をつけて、着手する順番と予定を定めました。
最後に「順番に手をつけていくこと」「すぐに全部は出来ないよ」ということを理解してもらう必要があったため、この内容を役員や他部署に伝え、ようやくスタートラインに立つことが出来ました。
この「業務の可視化と整理」に時間をかけたことで、この後に出てくる業務改善の質が上がったと実感しています。
本格的な業務開始となった2ヶ月目からの内容は「実務、改善、実務、改善」の繰り返しでした。
1本の映画になるくらいのボリュームのため、ダイジェスト版でお伝えしていきます。
- 設立当時作成したままの社内規程の見直しと不足の規程作成
- 備品の管理表と使用のルール作成
- 入社や退職、異動時のフロー構築
- 法定外福利厚生の内容追加
- 会議室の予約方法や使い方の策定
- コロナ禍でできる行事の企画
- ホームページ管理方法の見直し(社内管理と社外管理に分散)
- 稟議フローの見直し
- タスク管理システムの導入
- 社用車の選定基準の見直し
- 社員寮の管理体制の見直し
- 支店設置のフロー構築
- 業務分掌の見直し
- 会社の理念浸透 など
このように多岐にわたる見直しと改善を行い、総務課が通常運転できるように整える事ができました。
ここで意識したのは、改善のタイミングです。
覚えることも大事ですが業務量が多く時間がなかったため、頻度が多いものはまずやってみて次に改善。
頻度が少ないものは先にシミュレーションをして改善出来そうなポイントをだし、既存の方法と選択しながら同時に改善をする方法を取りました。
この改善のタイミングを的確にすることが、通常運転成功の秘訣だと感じています。
怒涛の1年でしたが、やはり初めての仕事だということもあり、見えたことが沢山ありました。
「会社ってこうやって作られているんだ」「総務課ってこんなにも会社に影響があるんだ」と総務の仕事への考え方が変わり、さらに自分の視野とスキルの幅が広がったと確信しています。
やっと通常に動く土台ができたところで、まだまだ見直しや構築することが沢山あるので、完成への道のりはまだまだこれからです。
総務の仕事を進める上で大切なポイント3つ
未経験の私が総務課の仕事をしていくなかで大事だと思ったポイントを3つお伝えします。
①常に改善意識を持つこと
総務課では様々な業務が同時に進んでいきます。そして同じような作業も多く発生します。
その一つひとつに時間がかかり、気づけば1日が終わってしまうことも多々あります。
そのため、日々の業務をしながら「時短するには」「効率よくするには」「もっと良いフローは」など改善意識を持つことが、未来の業務を助けることに繋ります。
結果的に自身の総務課だけではなく、会社への良い影響も必ずありますので、意識をしていただければと思います。
②ギブアンドテイクの精神
総務課は頼まれることが多い部署です。
どんどん仕事が増えて、業務量が多く定時に帰ることも難しくなる部署になります。
そこで、頼まれるだけではなく「できるだけ頼んでみる」ことを積極的にしましょう。
一方的な仕事になるのではなく、他部署に頼めるものは頼む「ギブアンドテイク」の精神で仕事をする方が、とにかく気持ちが楽になります。
そして、自分の業務範囲でも相手に少し頼んでやってもらうことで業務の負担がなくなることも期待できます。
場合によっては相手の態度や考え方が変わり、業務分担の見直しやフローを一緒に考えたりと好作用も出てくるのでオススメです。
③専門家の力を借りる
総務課の仕事は専門的な知識を必要とすることが多くあり、それをイチから勉強するには莫大な時間がかかります。
もちろん余裕がある時は自分で勉強するのも良いと思いますが、そこまで時間が取れないことの方が多いはずです。
そんな時は、現状の課題を専門家に聞くことをオススメします。
わからないことを専門家に聞くことで、インプットの質とスピードが格段に上がること間違いなし!
そして、提案や導入をする際に、自社に向けた提案書を作成してくれることも多々あります。(契約になると向こうにもメリットがあるため)
このように、全部自分でするのではなく、専門家(その分野の会社)の力を借りて自分の時間をうまく使いましょう。
最後に総務の仕事をしてみたいと思っている方へ
総務課には2つの役割があります。
担当する業務は同じでも、会社が求める事や業務への考え方が全く異なります。
- 一般的な安定の総務課
今ある業務をそのまま遂行し、ルーティンワークとして業務をするスタイル
- 戦略的な攻める総務課
会社の課題を常に意識し、積極的に改善や仕組み作りをするスタイル
これは会社によって異なりますので、説明会や面接などで確認することをオススメします。
私は改善意識が高い方ということもあり「攻めの総務課」に合いましたが、これが「安定の総務課」だと物足りなさを感じていたかもしれません。
ですので、自分にあった「総務課のスタイル」を選ぶようにして欲しいと思っています。