私は今から約15年以上前に業界では大手と言われている運送会社に正社員事務職として中途入社しました。
入社時は営業所にて倉庫事務職を務めました。
配属時の主な業務内容は、
1、車の部品の入出庫管理及び発注
2、事務用品の発注
3、事務所の環境整備
です。
入社して1年後に所長(上司)が変わりましたが、営業所の売上げ成績が悪くて人件費を削る様に会社の上司から言われた、ということを聞きました。
そこで所長に、
「あなたは事務職担当だけれど、現場作業も担当した方が良い。
作業員と一緒に作業して、一通り作業が出来る様になったら事務職に戻します。」
と言われました。
その後、「作業員が人不足」という理由で事務職に戻ることが出来ませんでした。
しかし、入社して1年が経過したばかり、当社にて事務職を続けていきたいと思い、本社に電話したところ、総務部労務課の課長(後の上司になる方)が話しを聞いて下さいました。
この内容を労務課長より当時の上司である営業所長に話しをしたところ、私は本社総務部労務課に異動、労務事務職に就くことになりました。
労務課に配属された時の印象は、
・営業所とは全然違う本社ならではの緊張感
・個人情報について厳しい部署
・電話対応や私生活が大切になる
ということでした。
また、個人的には営業所から異動したことで、
「同い年(同級生3人)が一緒で良かった。」
と思いました。
これで労務課には馴染みやすい環境を作って頂きました。
労務課の主な業務内容は、
1、勤怠チェック
2、給与袋詰め
3、全社員一覧表作成
4、健康保険証取得喪失業務
5、電話対応
などでした。
その中で私が主に担当(作成)していた、「全社員一覧表作成」は会社の会議や歴史に残るということで、ベテランの女性先輩と一緒に月初めに何度も作成していきました。
次は、「主な労務事務業務」を事例に挙げながら、「労務事務を通して新人ならではの苦労や厳しさについて」を説明していきます。
〔その1、年末調整〕
労務課の一大イベントと言える業務、それは「年末調整」です。
主な業務内容は、
1、全従業員約2,600名分(営業所約40ヶ所)年末調整の書類を10月上旬営業所へ社内メール便で発送、12月上旬までに回収する
2、記入漏れが無いのか一人ひとりの年末調整をダブルチェック(トリプルチェック)を行う
3、専用端末にデータ入力、印刷、各種入力漏れが無いのかダブルチェック(トリプルチェック)を行う
4、生命保険控除、国民年金保険料、住宅控除など各種書類添付書類漏れが無いか確認
5、疑問点は営業所(所長又は役職者→本人)に確認電話する
ことです。
営業所にいる時は、
「年末調整は期日までに書類を提出すれば良い、何かあれば所長が本社に聞いて下さる。」
と、ある意味「他人事」「上司任せ」でした。
しかし、労務課にて年末調整業務に携わると、
「ひとりはみんなの為に、ひとつのミスが労務課を、会社に迷惑をかけてしまう。」
という「他人事では無い」そして「危機感」が出てきました。
10月から12月上旬まで約2ヶ月少し、残業・休出が多かったですが、それだけ凄い業務に携わっていることを実感しました。
「年末調整業務」に携われたこと、今でも誇りに思い、貴重な経験をさせて頂きました。
〔その2、勤怠管理〕
月初めの大きなお仕事、「勤怠管理」です。
主な業務内容は、
1、全従業員のタイムカードチェックを月初め(タイムカード到着次第10日目処迄)に行う
2、打刻漏れは営業所の責任者や役職者に要問い合わせ、各種届出(有給届、忌引届など)とタイムカードの打刻や押印を照らせ合わせる
3、タイムカードを営業所が入力した打刻と合っているかデータ印刷、2つを照らし合わせてダブルチェック(時にはトリプルチェック)する最終確定まで気が抜けない
4、有給休暇届・忌引き・代休など各種申請書と2つを照らし合わせる
4、疑問点は営業所(所長又は役職者→本人)に確認電話する
ことです。
これを念入りに行わないと、「従業員ひとりひとりの給与に影響する」からです。
場合によっては確定申告にも影響してきます。
この期間は残業が少し多めでしたが、
「タイムカード、勤怠データ入力、各種届を怠ってはいけない、凄く神経を使う業務である。」
ことを実感しました。
退職して労務課を離れて10年以上経過しますが、当時の「打刻式タイムカード」から「カード式タイムカード」に変更した、と現在勤務中の方から聞きました。
「カード式タイムカード」に変更になる為、私が入社前から話し合い中、と聞いています。
〔その3、健康診断当番立ち合い〕
夏と冬の大きなお仕事、それは「健康診断当番立ち合い」です。
主な業務内容は、
1、愛知県の本社近辺の営業所と三重県の営業所を土曜日の営業健康診断時に労務課社員が立ち合う
2、受診者を問診票と営業所社員一覧表と立ち会い先(営業所)で照らし合わせる
3、健康診断結果を後日営業所にメール便で発送する
ことです。
この業務に携わって良かったことですが、当番終了後に、営業所(会社側)からお弁当支給して頂いたことです。
また、営業所の作業員さんや乗務員さんが、
「健康診断立ち会いご苦労様、良かったらジュースをご馳走するよ。」
と言って下さいました。
私も他の同僚達もお断りしますが、結果的にご馳走になってしまいました。
初めて(2回目担当も有)訪れた営業所と営業所の方達、「微力ながら力になれた」ことが嬉しかったこと、「この方達がいるから会社は成り立っている」ということを感じました。
〔その4、制服改定〕
私が労務課、というよりも本社勤務をして良かったこと、それは「制服改定」に携われたことです。
主な業務内容は、
1、女性事務員の事務服を変更する
2、男性事務員の社内専用ブレザー(ジャケット)を変更する
ことです。
私が労務課(本社勤務)になって1年後に事務服が変更になりましたが、本社女性事務員と一緒に試着を幾つか出来て決定した事務服を見ることが出来た営業所にいたら出来ないことでした。
そして、「労務課(本社)で業務を行っていたから出来たこと、凄いことに携わっている。」
と実感しました。
男性事務員の社内専用ブレザーの改定にも携わることが出来ましたが、変更して男性社員に女性社員にも好評です。
女性事務員の事務服は今まで冬用と夏用に別れていましたが、通年使用、基本ひとり2セット貸与です。
制服改定は女性社員の声だけでは通らない、予算や業者も関わってくる大きな仕事だと実感しました。
制服改定に携わったこと、誇りですが、営業所の女性社員の声も代弁することを考えると頭が痛かったです。
まとめ
「労務事務ならではの業務内容と新人ならではの苦労や厳しさについて」いかがでしたか?
私は人事異動で営業所から本社に異動してきましたが、
「本社は営業所と違い女性が多い!」
ということを実感しました(営業所の女性事務員は基本1~3人、もっと多い所もある)。
しかし、営業所とは違う、本社独特の雰囲気や緊張感があるので、
「社員によっては本社よりも営業所の方が好きだろうな、本社に異動したくないな。」
と思いました。
私は最初に営業所を経験してから本社総務部労務課に配属されたのが良かったです。
順番が逆ではなくて良かったです。
その理由は、上司や先輩方から在籍中に何度も何度も、
「本社、特に労務課は全社員の個人情報を扱う場所、会話には凄く注意しなさい。
あなたは営業所から来たから余計に肝に命じなさい。」
ということを教えて下さったからです。
私は営業所から異動後も元配属先である営業所の方と食事をしていましたが、
「労務課配属であることを忘れないこと、会話には気を付けること。」
を意識してきました。
これは、退職して転職先でも、一社会人としてその言葉を肝に銘じて仕事をしてきました。
「労務事務職」というのは一般的な事務職とは異なりますが、「本社勤務とは何か」「個人情報とは何か」「常に会話に気を付ける」ということを身に付けることが出来る仕事です。