病気に苦しむ患者さんに貢献できる医療従事者は、時代を問わず社会的に必要とされている職種です。
しかし、命を預かるだけあって現場環境はシビアで、人間関係でしんどい思いをしているという声もよく聞かれます。
この記事では看護師のような国家資格を持たなくても従事できる「病院事務」の職種に特化して、病院ならではの人間関係のお悩みと解決法、仕事の適性について解説します。
現在、病院事務として勤務されている方、これから病院事務への就職・転職を検討されている方はぜひ参考にしてあなたらしい働き方を実現させてくださいね。
病院事務の人間関係ならではのしんどさ3選

病院では事務以外にも複数の職種の人が勤務しており、職種間のコミュニケーションで苦労することがよくあります。
また患者さんからのクレーム、病院ならではの忙しさによるピリピリした空気に息がつまるような思いをすることもあるかもしれません。
ここでは、病院事務の人間関係ならではのしんどさをご紹介します。
病院への初めての就職・転職を考えていらっしゃる方は、シビアな環境であることを覚悟した方がよさそうです。
①病院事務以外の職種(医師・看護師など)との関わりがしんどい
病院の世界では、職種によっての上下関係が言動・態度に出やすく、医師・看護師の立場が強いです。
一方、実際の医療に携わらない病院事務の立場は弱く見られがちで、一部の医師・看護師から強い口調で命令されるような言い方をされることもしばしばあります。
さらに忙しいと、話しかけても無視されること、答えてもらえても非常にそっけない態度を取られることもあります。
病院事務の場合、特別な医療系の資格を持たなくても採用されることがあります。
現場で教わりながら成長していけばいいと考えている人には、就職後のカルチャーショックが大きいかもしれません。
きつい口調でのコミュニケーションが多いので、日々の関わりが続く中でしんどさを感じることもあるでしょう。
②患者さんからのクレームがしんどい
病院に来る患者さんは体調が悪く、ネガティブな気持ちになりがちです。
また、気持ちに余裕がなく、少しでも早く自分の症状を和らげたいと思っています。
心身ともに余裕がないことが多いので、些細なことでもイライラして病院事務の人に強い口調で感情的にクレームを伝えてくることがよくあります。
中には医師や看護師が原因のクレームもあり、自分のせいでないことで長時間責められることもあるでしょう。
病院事務は患者さんと最初にやり取りをすることが多い職種なので、クレーム対応を求められることが多いです。
病院の顔として、クレームを最前線で対応しないといけないことにしんどさを感じる人も多くいます。
③忙しさやストレスによる職場の空気がしんどい
職員数が足りていない病院に患者さんが多く来院すると、常に忙しい医療現場となります。
混雑さのピークになると、イライラする病院スタッフと患者さんで、さらに空気が悪くなってしまいます。
病院勤務では正確さとスピードの両方が求められ、ミスは許されないシビアさを持つので、大変さと責任は大きいですよね。
慣れない人にとっては、医療現場ならではの緊張感やピリピリした空気に疲弊してしまうこともあるでしょう。
スタッフも患者さんも両方がストレスを抱えていることが多いので、ストレートに受けてしまうととてもしんどい気持ちを抱えてしまいます。
病院事務の人間関係の悩み解決法3選

悩みの解決法としては、今の状況に我慢しすぎず、仕事で何らかの変化を生み出すことが必要となります。
ここでは今の職場でできる方法と、転職して環境を変える方法をお伝えします。
今の状況に照らし合わせて最善の解決法を一緒に見つけましょう。
①人間関係がつらいなら今の病院で環境を変えられないか試してみる
まず、仕事はプライベートのように同僚と仲良くしないといけないということはありません。
仕事と割り切って関係を壊さない程度に距離を置くのもいいかもしれません。
どうしても合わない人がいて、体調に支障が出そうなほど我慢を重ねているのであれば、シフト調整や異動ができないか人事担当の人に相談してみてはいかがでしょうか。
このとき、ストレートに「○○さんと合わないから」と伝えずに今の勤務に耐えられない体調であることをメインに話した方が受け入れてもらえる可能性が高まります。
相談して改善できればベストですが、どうしても環境を変えられない場合は続けることにこだわらず、職場を離れることも選択肢に入れて自分の心身の健康を優先させてくださいね。
②クレーム対応は誠意を持ち、一人で抱え込まない
クレーム対応は、相手に時間があり執拗に責めてくる人に当たってしまうと心身ともに疲弊します。
特に女性であるというだけで、強く出てくるクレーマー気質の人もゼロではありません。
こんなときは誠意を持ってクレームの話を聞くことはまず大事ですが、その次に部署全体の問題として対応することも大切です。
勤務経験の長い男性職員や役職のある上司に対応を替わってもらうことも覚えておいてください。
自分のミスならまだしも、他の人のミスによるクレーム対応は心が折れそうになりますよね。
病院の事務として働くならクレームからは逃げられないですが、一人で必ずしも対応しなければならないことはありませんので、先輩の知恵を借りて乗り切りましょう。
③それでも解決しなければ、人員に余裕のある病院に転職する
異動が実現したり、クレーム対応を部署全体で行えたりしても、仕事仲間の人間関係がどうしても耐えられない・クレーム対応が多すぎてやりがいが持てないという人もいるかもしれません。
その場合は、無理に続けようとせずに、辞めて他の職場を探すのも一つの選択肢です。
次も病院に転職しようと考えているときには、以下の点を考慮して自分に合った病院を探してみるといいですよ。
・診療科が多い病院ほど患者数が多く忙しいと心得ておく
・求人募集がされている部署の人数と平均来院数を比べてどの程度忙しいのか予想する
・面接でどの程度忙しいのか直接確認する
環境次第で働きやすさは大きく変わります。
今の病院が唯一絶対の選択肢ではないはずなので、他の病院に転職してもいいんだと視野を広げてみてください。
適性をよく考えて!病院事務に向かない人の特徴

病院事務のお悩み・解決法がわかったところで、最後に病院事務を目指す人が適性を見極めるための判断基準をお伝えします。
医療従事者はやりがいがある仕事をしていることは確かなのですが、適性に合わないと自分の能力を発揮できず、つらい思いからストレスを抱えてしまうこともしばしば…。
病院事務に向かない人の特徴を知ることで、あなたが仕事選びでミスマッチを発生させないように参考にしてみてくださいね。
ミスやトラブルでパニックになりやすい人
決まった仕事のルールはありますが、患者さんの数だけミスやトラブルが発生しやすいのが医療現場です。
事務手続きの面では、同姓同名の患者さんの判別、患者情報の入力があり、実際の患者さんへの応対も同時に求められるのが大変ですよね。
このため集中力と冷静さ、患者さんへのホスピタリティと色々な能力をマルチタスクに発揮する必要があり、仕事でも状況にあわせて臨機応変な対応が求められます。
忙しい病院だと休む暇もなく電話がかかってきますし、外来の受付時間を過ぎても患者さんが来院されることがあり、まさに終業時間まで待ったなしの対応が続く病院もあることでしょう。
忙しくなるにつれて、冷静さを保てずパニックになりやすい人は要注意!
ここで書いた状況は、外来受付・地域連携室など外部との接触が多い事務職を特に指しています。
データ入力のみの落ち着いて処理を1つ1つ取り組める仕事も中にはありますので、募集職種をよく確認して適性を見極めましょう。
人付き合いが苦手な人
病院では老若男女問わず、対人での仕事がほとんどです。
たとえ窓口ではなく、電話対応が多い部署になったとしても相手の状況を理解し、適切な言葉を使って丁寧に応対するコミュニケーション能力は必須となります。
元々人付き合いが苦手で、できるだけパソコンに向かって静かに仕事をしたい方が、多くの患者さんを相手にする病院事務を選ぶことは緊張やストレスを感じやすい場面が多くなる可能性があります。
やってみるとだんだん慣れていくこともあるかもしれませんが、適性としては人付き合いが苦にならない人の方が向いていると言えるでしょう。
メモを取る習慣がない人
病院事務では次々と患者さんのやり取りが発生し、医師や看護師からも業務の指示を頻繁に受けることがあります。
その全部を覚えることは不可能だと思いますので、メモを取る習慣は必須となります。
中には数週間前の患者さんの用件をメモを見返して確認するような場面もありますので、患者さんの名前とキーワードだけでもメモをしておくとよいでしょう。
字がきれいに書けるかどうかは問題ではなく、メモを取りながら仕事を進められるかが重要です。
もし、メモを取らずに仕事を進めると仕事の抜けが発生しやすくなり、トラブルにつながる恐れもあります。
病院事務に限らないことかもしれませんが、特に病院事務はメモが欠かせない仕事であることは覚えておいてくださいね。
まとめ

今回は病院事務の人間関係のお悩み・解決方法と仕事の適性について紹介しました。
・病院事務は多職種・患者さんとの関わりでストレスを受けやすく、職場の空気もしんどくなりやすい
・一人で問題を抱え込まないこと、どうしても合わなければ環境を変えるのが解決方法
・臨機応変な対応、人付き合い、仕事でのメモを取る習慣が難しい人は適性上厳しい可能性がある
病院事務の人間関係の大変さ・仕事の適性を知った上で、医療従事者の一員として働きたい方であればしんどさを乗り越えてやりがいをもって日々の仕事をやり遂げられるでしょう。
ぜひこの記事を参考にして、あなたのキャリアに病院事務を加えるかどうかじっくりと検討してみてくださいね。